映画『ボーイズ・ステイト』はどこで観られる?Apple TV+だけの理由と、自主上映会にかからないわけ

「『ボーイズ・ステイト』を観たい」「配信はどこ?」「上映会はやっていないの?」——先に結論をお伝えします。

この映画は、Apple TV+でしか観られません。 日本では劇場公開もDVD発売もなく、自主上映会で上映することもできません。

サンダンス映画祭でグランプリを獲った作品で、内容は中学・高校の授業でそのまま使えるほど良質なのですが、観る場所が1か所に限られているという、ちょっともったいない作品です。この記事では、その理由と、それでも観る価値がある理由を書きます。

『ボーイズ・ステイト』とはどんな映画か

※予告編は英語音声・字幕なしですが、雰囲気は十分に伝わります(本編はApple TV+で日本語字幕つき)。

アメリカに「ボーイズ・ステイト」という、100年近く続く高校生向けのプログラムがあります。在郷軍人会(American Legion)が主催し、各州で毎年開かれるもので、高校生たちが一から模擬の州政府をつくるという内容です。

この映画が追うのは、テキサス州で開かれた回。1000人の男子高校生が集められ、くじで2つの政党に分けられ、政策をつくり、演説し、選挙で知事を決めるまでの1週間が記録されています。

面白いのは、彼らが大人の政治をあっという間に再現してしまうところです。

  • 相手陣営のネガティブキャンペーンが始まる
  • 勝つために自分の信念とは違う主張をする候補が出てくる
  • SNSでデマが拡散する
  • 「本当のことを言う候補」が支持を失っていく

10代がやっているのに、そこで起きることは私たちが知っている選挙そのものです。演出も脚色もありません。カメラはただ、それが自然にそうなっていく様子を撮っています。

2020年のサンダンス映画祭で米国ドキュメンタリー部門のグランプリを受賞しました。

観る方法はApple TV+だけ

観る方法 取り扱い
Apple TV+ あり(独占配信)
Netflix・U-NEXT・Amazonプライム等 なし
劇場公開(日本) なし
DVD・Blu-ray なし
自主上映会 なし(後述)

※2026年7月時点。Apple TV+はほかの配信サービスに作品を出さない方針が基本なので、この状況は当面変わらないと見るのが現実的です。

なぜ自主上映会にかからないのか

上映権の窓口がある作品は上映会が開け、配信独占の作品は開けないことを示した図

てんぐシネマ倶楽部では毎日、東京・埼玉・神奈川・山梨の自主上映会情報を集めています。その中に『ボーイズ・ステイト』が出てくることは、まずありません。理由は作品の質とは関係なく、権利の流通のしかたにあります。

自主上映会が開けるのは、日本国内に上映権を扱う窓口(配給会社・製作会社など)がある作品です。公民館やカフェで上映したい人は、そこに申し込んで料金を払い、上映用の素材を借ります。『人生フルーツ』も『はりぼて』も、この窓口があるから各地で上映されています。

一方『ボーイズ・ステイト』は、Apple TV+のオリジナル作品として世界配信されたもので、日本での劇場公開もありませんでした。つまり国内に「上映会をやりたい」と申し込む先が存在しないのです。

配信サービスの契約は原則として個人が家庭内で観るためのものなので、その画面を公民館で大勢に見せることはできません。作品が良いかどうかとは無関係に、制度上そうなっているというだけの話です。

『人生フルーツ』とちょうど正反対

この2本を並べると、日本で映画を観る環境の両極がよく分かります。

人生フルーツ ボーイズ・ステイト
配信 なし あり(Apple TV+のみ)
DVD なし なし
自主上映会 あり(各地で継続中) なし
理由 作り手が「劇場で観てほしい」と決めた 配信プラットフォームの独占作品

片方は「配信では観られないが、みんなで観られる」。もう片方は「ひとりでは観られるが、みんなでは観られない」。 どちらも「いつでも好きな形で観られる」わけではないのが面白いところです。

『人生フルーツ』の記事はこちら

どんな人に向いているか

居間のソファで、後ろ姿の親子が並んで画面を見ている情景

中学生・高校生と一緒に観るのに、これ以上ない題材だと思います。

  • 出てくるのが同世代なので、他人事になりにくい
  • 「政治」の話なのに、実在の政党も政治家も出てこないので、家庭や学校で安心して扱える
  • 「なぜ政治家は嘘をつくのか」が、説教ではなく現象として見える

選挙や主権者教育をテーマに何か観るなら、大人の不正を描いた作品より、こちらのほうが健全だと感じます。観たあとに残るのが不信ではなく「自分たちで決める」という感覚だからです。

日本の家庭で観る場合、字幕で問題なく理解できる内容です。上映時間も109分と、ドキュメンタリーとしては長すぎません。

続編『ガールズ・ステイト』もあります

同じ監督コンビによる続編『ガールズ・ステイト』(2024年)が、同じくApple TV+で配信されています。今度はミズーリ州で開かれる女子版のプログラムが舞台です。

こちらは「男子版と何が違うのか」という視点が加わり、2本続けて観ると見えてくるものがあります。あわせてどうぞ。

作品データ

項目 内容
原題 Boys State
公開 2020年8月14日(Apple TV+)
上映時間 109分
監督・製作 ジェシー・モス/アマンダ・マクベイン
配給 A24/Apple TV+
主な受賞 サンダンス映画祭2020 米国ドキュメンタリー部門グランプリ/SXSW ルイス・ブラック ローンスター賞
続編 『ガールズ・ステイト』(2024・Apple TV+)

よくある疑問

日本で劇場公開されましたか?

されていません。 日本ではApple TV+の配信のみです。海外では一部劇場公開もありましたが、日本は配信スタートでした。

学校の授業で使えますか?

家庭用の配信契約のまま教室で上映することはできません。教育機関での利用を検討される場合は、Apple TV+のサポートに利用条件を直接ご確認ください。 権利の扱いは学校の種別や国によって異なるため、ここで「できます/できません」と断言はできません。

実話ですか? 出演者は俳優?

すべて実話で、出演者は本物の高校生です。 演技も再現ドラマもありません。実際に開催されたプログラムに密着して撮影されています。

政治的に偏っていませんか?

作中では保守・リベラル双方の考えを持つ生徒が登場し、どちらが正しいという結論は示されません。 監督が撮っているのは主張の中身ではなく、「集団が意思決定するときに何が起きるか」という現象のほうです。

まとめ

朝の光が差し込む講堂の演台と、一本のマイク

  • 『ボーイズ・ステイト』はApple TV+の独占配信。ほかの配信・DVD・劇場では観られない
  • 自主上映会でも上映できない。作品の質ではなく、日本に上映権の窓口がないため
  • 1000人の高校生が模擬政府をつくる実話。実在の政党・政治家は出てこない
  • 10代と一緒に観る題材として非常に良質。観たあとに残るのが不信ではなく参加意識
  • 続編『ガールズ・ステイト』も同じくApple TV+に

みんなで観られない作品なのが、この映画に関してはいちばん惜しい点です。その代わり、家で家族と観るには最適だと思います。

自主上映会で観られるドキュメンタリーを探すなら、上映会一覧ドキュメンタリー映画おすすめをどうぞ。

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